建築は、「設計」があり、それに基づいて「施工」されて完成します。 「工事を設計図面と照合して、図面どおりに実施されているかいないかを確認するのが「監理」という役割です。この3つがそろって、初めて設計どおりの建物が完成します。
この3つの役割は、分散して依頼することもできますし、一括して依頼することもできます。分類すれば、1.設計・監理を設計事務所、施工は建築業者、2.設計と監理をそれぞれ別の設計事務所、施工は建築業者、3.設計・施工を建築業者、監理は設計事務所、4.全てを建築業者に依頼、というような組み合わせができます。
それぞれにおいて生じる問題は異なりますが、ここでは、上記の1、すなわち設計・監理を設計事務所に依頼する場合の設計監理契約について説明しましょう。 当事務所は、注文主側、建築士側のいずれからのご相談にも応じています。
1.設計を始めてもらったがプランが気に入らず中止した場合の設計料
設計は、最初に敷地の状況や用途地域など法令上の制限の「調査」を行い、「基本プラン(ラフプラン)」を立て、それをもとに依頼者と相談を重ねて「基本設計」を作ります。その上で、実際に建物を作ることができるための「実施設計」を行い、建築基準法等の適合性をチェックして、建築確認申請を行うことになります。
契約書を作成しないままこのような作業を進めて、途中で設計業務が中止になった場合に、設計料を支払う義務があるかが問題となります。判例では、基本プランの段階では、契約の誘引行為であるとして、報酬請求を認めないケースが多いようです。
2.注文主の事情で建築が中止になり監理の必要がなくなった場合の監理料
設計業務は終わったのに、注文主側の事情、たとえば敷地を売却することになり、建築工事を行わなくなったという場合、「監理」の必要もなくなります。
このような場合、注文主には、設計監理契約で定めた監理料の支払い義務があることになります。
ただし、実際に管理業務を行った場合にかかる人件費などの経費の支出は不要なので、その分を差し引いて支払えば良いという判例があります。
このように、当事者間で協議ができない場合は、裁判になれば、契約を前提として合理的な解決が諮られるのです。
弁護士費用
請求する(される)設計監理料を「経済的利益」として、当事務所の一般民事事件の弁護士報酬基準に基づいて、着手金と報酬を計算します。
経済的利益の額
300万円以下の場合
着手金:8%(最低10万円)
報酬:16%
300万円を超え3,000万円以下の場合
着手金:5%+9万円
報酬:10%+18万円
3,000万円を超え3億円以下の場合
着手金:3%+69万円
報酬:6%+138万円